2010年01月30日

臨時接種の新類型創設へ―インフル対策で予防接種部会(医療介護CBニュース)

 新たな弱毒性の新型インフルエンザが発生した場合に、予防接種法で対応できるよう同法を改正するため、厚生労働省は1月27日、「厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会」(部会長=加藤達夫・国立成育医療センター総長)の第3回会合を開いた。この日の会合では厚労省側が、臨時接種に新たな類型を創設することなどを盛り込んだ素案を提示し、大筋で了承された。

【予防接種体系図詳細】


 現行の臨時接種では、感染力と病原性が強い疾患が想定されている。一方、新たな類型は今回の新型インフルエンザのように、病原性が強くなく緊急性は低いが、感染力が強く、社会的混乱を避けるため臨時に接種を行う場合を想定している。
 現行の臨時接種で生じる接種の努力義務について厚労省は、新たな類型では「『あり』とまではいかないまでも、『なし』としても接種の実施が難しくなる」との認識を示し、「勧奨」とする考えを示した。接種費用の実費徴収は、現行の臨時接種では「不可」となっているが、緊急性が低いことから、「経済的困窮者を除く被接種者からは、実費を徴収することが適当」とした。

 これを委員が了承し、臨時接種に新たな類型を創設することで合意した。
 ただ、岡部信彦委員(国立感染症研究所感染症情報センター長)は「病原性が強いかどうかは、多少時間を置かないと分からない。製造の段階と接種の段階では少し考え方が違ってくることがある」と指摘した。
 接種費用については、実費徴収とすることで意見が一致したが、澁谷いづみ委員(愛知県半田保健所長)ら自治体の担当者などが、自治体間の財政基盤の差が影響しないよう配慮を求めた。

■定期接種化「接種率など理解しないと」―岡部委員
 素案ではこのほか、臨時接種として実施した新型インフルエンザの予防接種をその後、定期接種するかどうか、する場合の要件などが論点に挙げられた。
 現行の予防接種法では、インフルエンザは二類定期接種で、対象が高齢者に限定されており、今回の新型インフルエンザのように、小児などにも接種を行うには、法改正が必要になる。

 これについて岡部委員は、「重症度や予後、ワクチンの接種率など、疾病がどういうものかを理解しないと、(定期接種への)切り替えはできない」との見解を示した。その上で、現在のインフルエンザのサーベイランスでは、どの年齢層でどのくらいの患者が発生しているかしか分からないと指摘し、重症例や治療の経過などを把握できるよう「サーベイランス体制の強化が必要だ」と述べた。


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2010年01月29日

<神経細胞>皮膚から作成、「万能細胞」使わず 米国(毎日新聞)

 マウスの皮膚の細胞に三つの遺伝子を導入し、神経細胞を作り出すことに米スタンフォード大の研究チームが成功し、この細胞を「(人工的に)誘導された神経細胞」を意味する「iN細胞」と名付けた。ES細胞(胚(はい)性幹細胞)やiPS細胞(人工多能性幹細胞)のようにどんな細胞にも変化できる「万能細胞」を使わず、体細胞から直接、形質が全く異なる細胞を狙い通りに作成した成果として注目される。27日付の英科学誌ネイチャー(電子版)で発表した。

 研究チームは、神経細胞のみが光るように遺伝子改変したマウスの胎児の組織や新生児の尾から、皮膚中でコラーゲンなどを作る「線維芽細胞」を採取。神経細胞への変化に関係する19の遺伝子のうち三つをウイルスに乗せて導入すると、5〜8日で光る細胞ができ、神経細胞として働くことが確認された。

 iPS細胞を作成するには数週間かかり、神経、筋肉、心筋などの目的の細胞に分化させる必要がある。移植の際に分化しきっていない細胞が混じればがん化する可能性もある。一方、今回の方法はiPS細胞を使う場合に比べ、より簡単かつ短期間でできる。さらにiN細胞はそれ以上変化しないため、がん化の可能性も低いと考えられるという。

 チームの一員で同大再生医学研究所のリサーチアシスタント、国分優子さんは「将来的には、患者本人の細胞からがん化の可能性や移植時の副作用が少ないiN細胞を作成することで、移植治療の臨床応用の可能性を広げることができるのでは」と話す。【須田桃子】

 ◇安全性の検証必要 iN細胞

 米スタンフォード大が成功した体細胞を直接、目的の細胞に変化させる試みは、「ダイレクト・リプログラミング」と呼ばれ、iPS細胞研究と並んで世界的に研究が進みつつある。

 過去には、米ハーバード大の研究チームが08年、マウスの膵臓(すいぞう)の膵液を作る細胞に三つの遺伝子を組み込み、インスリンを作るベータ細胞を作成した例がある。しかし、インスリンは元々膵臓で産出されるのに対し、米スタンフォード大の研究は、採取が簡単な皮膚の細胞を使い、元の細胞とは性質も形態も全く異なる細胞を作り出した点で、これまでにない成果と言える。

 岡野栄之・慶応大教授(再生医学)は「いつかはこのような研究がなされるだろうと予期していたが、ついに出たという感がある」と評価する。一方、体細胞に複数の遺伝子を導入して別の細胞に誘導する発想は、もともと山中伸弥・京都大教授らがiPS細胞の作成で示しており、「今回の研究もiPS細胞研究の延長線上にあると言える」と指摘する。

 iN細胞は元の細胞の形質が完全に消えているかどうかなど、未知の点も多い。iPS細胞と同様、再生医療での利用には特に安全性の詳細な検証が必要だ。【須田桃子】

 ◇慶応大チームは神経幹細胞成功

 慶応大の岡野栄之教授(再生医学)の研究チームは27日、大人のマウスの線維芽細胞に複数の遺伝子を導入し、神経細胞の元になる神経幹細胞を作り出すことに成功したことを明らかにした。導入した遺伝子は、米スタンフォード大の研究とは全く異なり、できた神経幹細胞から、神経細胞や神経細胞の働きを支える「グリア細胞」を分化させることにも成功したという。【須田桃子】

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2010年01月23日

新聞検閲 占領下の実態「証言」呼びかけ…早大メディア研(毎日新聞)

 第二次世界大戦後の占領下で連合国軍総司令部(GHQ)が日本の新聞などを対象に行った検閲の実態を記録しようと、早稲田大20世紀メディア研究所(山本武利所長)は「占領期検閲者に聞く会」を発足させ、当時検閲部門で働いた日本人の聞き取り調査を進めている。09年12月、新聞検閲にかかわった女性に対する初の聞き取りでは、勤務体制や待遇など貴重な証言が得られた。終戦直後に始まった検閲の関係者は現在80代以上で、同研究所は「最後のチャンス」と協力を呼び掛けている。【大井浩一】

 GHQの検閲は1945年9月に始まり、49年10月まで続いた。新聞や雑誌、放送、映画、郵便などの検閲部門には常時、数千人の日本人が雇われ、米軍将校らの検閲官の下でゲラの点検や翻訳に従事した。

 聞き取りに応じたのは東京都練馬区の塙光子さん(85)。塙さんは45年10月から47年春まで、GHQ民間検閲局(CCD)に雇用され、初めは東京中央郵便局で郵便検閲に携わった。約1カ月後に新聞検閲に移り、翻訳者として勤務。職場は雑誌や映画などの検閲も行われた東京・内幸町の放送会館(現存せず)6階にあり、平日は午前9時から午後5時まで働いた。月給は1200円で、当時としては高額だった。職場には大学で英語を学んだ人が多く、大学教師と思われる年配者もいたという。

 東京の新聞検閲は大手紙と通信社が日比谷の市政会館で、掲載前に事前検閲(48年7月まで)を受けた一方、地方紙や業界紙は放送会館で事後検閲が行われた。塙さんは「ゲラではなく、回ってきた新聞をひたすら訳した。大きな部屋で緊張感があった。上司の将校に訳を直されたこともある」と具体的な作業の様子を証言した。

 山本所長によると、郵便検閲にかかわった日本人の手記などは比較的多いが、新聞検閲は関係者の数も少なく証言はまれ。80年代に事後検閲にかかわった日系2世の女性の証言があるが、日本人の例は知られていないという。

 塙さんは「今まで人に話したことはなかった。秘密にしておくように言われたことはない」と話したが、当時は検閲の事実自体が厳重に秘されていた。山本所長は「米国にとって日本の検閲は成功体験であり、最近、元検閲官らの証言を残そうという動きが活発化している。存命の日本人関係者は高齢化が進んでおり、聞き取りを急ぎたい」と話す。

 連絡は同研究所(03・5286・1988)へ。

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